【GC Book Club】ヘルマン・ヘッセの「シッダールタ」
- 2015年01月04日
この本は表紙が美しくゴータマ・シッダールタ(お釈迦様)のイメージに相応しいと思ったので何気なく買ったのですが、読み始めると面白い。もともと仏陀が伝えようとしたことには高い関心があったこともあり、一日で読み終えました。
ドイツ人にしてこれだけ仏陀の教えを正確に(私の個人的感覚ですが)且つ分かり易い物語に出来ていることに驚きました。
後で調べてみたら42ケ国語に翻訳され、アメリカを中心になんと1千万部近くも売れたとのこと。
米国人作家ヘンリーミラーの言葉を借りれば「シッダールタは私にとって新約聖書よりも効き目のある薬である」という感動を与えたようです。
シッダールタに出てくるメッセージは「叡智は言葉で教えることができない」「叡智を得るためには愚かなこと=肉体的欲求や金銭的貪欲ささえも経験する意味がある(この点仏陀以降の無数の教団は勝手に戒律を定めて極端な苦行だけを是とするおかしなことになっていますが)」というものです。
中でも一見大きなパラドックスに思われる「あらゆる真理はその反対も同様に真理である」というくだりには大きな衝撃を受けました。
キリスト教やイスラム教という特定の宗教だけが真理と思いこむことは最も間違った精神世界に自ら追いやっているのではということも、ふと想起しました。
特定の対象を軽蔑したり、憎むのではなく世界に起こる全てのことを愛することができれば、人生に苦しみはなくなるという結論ではないかと私なりに解釈しています。
いずれにしても欧米社会の人たちが理解する仏陀の思想とはひとえにヘッセのシッダールタによるものではないかと推測ができ、欧米人を理解するためにも良いご縁でこの本に出会えたものだと思い、ご紹介した次第です。
(from Kyo)
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